
「何度書いても英単語が覚えられない」「すぐに忘れてしまう」「スペルをすぐに間違える」。
小学生の英単語学習でよく聞かれる悩みです。保護者としても「どう覚えさせるのが正解?」「やっぱり書いて覚える練習を繰り返すべき?」と迷うことがあるかもしれません。
しかし、英単語は「ただ覚えればいい」ものではなく、「覚える順番」や「覚え方のステップ」を間違えると、どれだけ時間をかけても定着しにくくなります。
実は、小学生の英単語学習には“効果が出やすいタイミング”と“やってはいけない覚え方”が存在します。
この記事では、
- 小学生が英単語を覚えられない原因
- 学年別に効果の出やすい覚え方
- 覚えた単語を定着させる工夫
- スペルが苦手な子でも取り組みやすいステップ
- 家庭学習でよくある失敗のパターン
などをわかりやすく整理し、「この順番で進めれば大丈夫」という学習ステップを解説していきます。
「うちの子に合った方法で、楽しみながら英単語を覚えさせたい」「中学英語でつまずかない土台を作りたい」という方にとって、役立つ指針になるはずです。
それではまず、「なぜ小学生でも英単語学習を始めておくべきなのか」から見ていきましょう。
小学生の英単語学習はなぜ必要?中学進学で差がつく理由
「英単語は中学に入ってから覚えればいいのでは?」と思われることもあります。
しかし、実際には小学生の段階で英語に触れているかどうかによって、中学のスタート時点で大きな差がつき始めます。
ここでは、小学生のうちに英単語に触れておくことがなぜ有利になるのかを整理してみましょう。
中学英語は「単語がわからない=授業が理解できない」構造になっている
中学1年生の英語はスピードが速く、授業も「意味を理解して進む」ことが前提になります。
そのため、次のような状態になると授業への抵抗感が高まります。
- 知らない単語が多くて、文の意味がわからない
- 意味が取れないため文法説明が頭に入らない
- 音読ができず、読むこと自体に時間がかかる
英単語の基礎的な理解があるだけで、この「理解できない不安」から守られやすくなります。
「音で知っている単語」があるだけで読みやすさが変わる
単語は「書けるかどうか」ではなく、「音として聞きなれたものがあるかどうか」で理解スピードが変わります。
小学生のうちに触れている単語があると、
- “見た瞬間に読める”
- “なんとなく意味がわかる”
- “文章全体を理解しやすい”
という状態を作りやすくなります。
これが「英語=わかるもの」という認識につながります。
「知っている英単語がある」→「読むのが怖くない」という安心感に直結する
中学英語でつまずく子の多くは、「読めない」「意味が取れない」という恐怖心から英語そのものを拒否してしまうケースが目立ちます。
一方、小学生のうちに
- りんご=apple
- 犬=dog
- 好き=I like …
といった“知っている単語”が増えると、教科書の文章に「見覚えのある単語」が混ざるため、読むことへの心理的ハードルが下がります。
「英単語の読み方」→「スペルへの理解」へとつながる
英単語を音として知っている状態で、「文字はこう書くんだ」と理解できると、スペル学習への抵抗が少なくなります。
特にフォニックス(音と文字の関係)を知ることで、「わからない文字の羅列」ではなく「法則をもった単語」として捉えられるようになります。
早期学習の目的は「暗記」ではなく「慣れ」と「抵抗をなくすこと」
小学生から単語を覚える目的は、「中学のために先取りしておくこと」ではなく、「英語に触れることへのストレスをなくしておくこと」にあります。
英単語への慣れがあると、中学英語を「知らないことを教わる時間」ではなく「知っていることを広げる時間」として受け止めやすくなります。
このように、小学生の英単語学習は「競争のための先取り」ではなく、「英語を嫌いにならない土台をつくるもの」と考えることが大切です。
英単語を覚える前に整えておきたい基礎準備
英単語がなかなか覚えられない原因は、「記憶力が弱いから」ではありません。多くの場合、「覚える前の土台」が十分に整っていないために、無理に暗記しようとして挫折するケースがほとんどです。
ここでは、英単語学習の成功に必要な“3つの準備”を整理します。
「音を聞く」「口にする」経験があるかどうか
英単語は、頭の中で音と意味がつながっている状態のほうが覚えやすくなります。
言えない単語を書いて覚えるのは、砂の上に文字を書くようなものです。
例:「dog」は「ディー・オー・ジー」ではなく、「ドッグ」という音で認識されている状態が理想です。
先にやるべきこと
- 英単語を「聞く」ことから始める
- 声に出す練習も取り入れる
- 正しさより「自分で言える」ことを優先する
「単語の意味がイメージできる」状態を作る
意味がイメージできる単語は、暗記ではなく“理解によって記憶される”ため、忘れにくくなります。
たとえば以下のようなステップが効果的です。
- apple → りんごの写真や実物と結びつける
- run → 映像や動作と関連づける
- happy → 表情や雰囲気で感じ取らせる
文字に進む前に「視覚・動作・感情」を絡めることで定着しやすくなります。
「間違えてもいい」という安心感を与える
覚えたての英単語を口に出したとき、「違うよ」「正しく言って」と繰り返されると、反射的に口が閉ざされます。
英単語学習に限らず、語学は「言ってみた」という行動そのものが第一歩です。
- 間違いを指摘する前に「言えたこと」を認める
- 「惜しい!もうちょっとで正解だね」という伝え方をする
- 「発音が100点になる必要はない」という前提を作る
心の安全を確保できると、英単語を口に出す回数が増え、結果として覚えやすくなります。
「覚える」前に「言える・イメージできる」状態があると定着率は一気に上がる
小学生の英単語学習は、「文字の暗記」から始めるのではなく、「音→意味→文字」の順番で学ぶことで、学習効率が高くなります。
この流れが整っているかどうかで、暗記への負担が大きく変わってきます。
小学生に合った英単語の覚え方|学習ステップとコツ
英単語を覚えるとき、多くの子どもがつまずくのは「覚える順番」が間違っているからです。
特に、小学生の段階で「書いて覚える方法」から始めてしまうと、苦手意識が一気に高まります。
ここでは、小学生に無理なく定着しやすい英単語の覚え方を、4つのステップに分けて紹介します。
ステップ1|音で覚える(聞いて→まねして言ってみる)
最初の段階では、スペルや意味を覚える必要はありません。まずは「音で知っている単語」を増やしていきます。
- 英語の歌やチャンツを使って口に出す
- 短いフレーズを繰り返す(I like ○○. / This is my ~.など)
- 動画やアニメ英語でもOK
「言える単語=覚えやすい単語」です。
ステップ2|意味と結びつける(イメージとリンク)
音がわかってきたら、「これはこういう意味だよ」と視覚や感覚を通して理解させます。
- りんご=appleをイラストや実物で示す
- 走る=runは動作で表す
- happy=表情カードでイメージさせる
意味がつかめると、記憶が自然に固定されます。
ステップ3|文字に触れる(読む→パターンに気づく)
音と意味が結びついた段階で初めて「文字」を導入します。このとき、「書く」前に「読めること」を優先します。
- フォニックスで音と文字の関係を学ぶ
- 単語を見せて「これは〇〇だったよね」と確認
- 「言える単語=読める単語」にしていく
「読みやすくなった」=「スペルを理解しやすくなる」状態です。
ステップ4|書く・使う(アウトプットで定着)
読み方と意味がわかってきたら、「書く・使う」を入れます。ここでは“いきなり丸暗記する”のではなく、“言える文を少しずつ書く”流れが効果的です。
- 1単語ずつではなく、短文で覚える(I like dogs.など)
- 書く練習は「言えるもの」だけに限定する
- 簡単なクイズやゲーム形式で復習する
この段階では「正確に覚えること」より、「意味を理解したまま形にできること」が重要です。
「音→意味→読み→書く」の順序を守ると、覚えるスピードと定着率が上がる
小学生のうちは、この流れが自然に身についていくことで、「英単語=覚えるのがつらいもの」ではなく、「知っている言葉が増える楽しさ」へと変わっていきます。